entry_image

カスハラ経験者72.1%、10月1日~カスハラ防止法施行開始

さて、10月に入り、企業や学校でも下半期がスタートしました。
価格改定、法律改正なども、こうした10月1日を機にスタートするものが多いことをご存じでしょうか。
近年、社会問題化している「カスタマーハラスメント」(以下、カスハラ)もその一つ。

令和7年(2025年)6月に成立・公布された
「改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法などの改正)」
に基づき、令和8年(2026年)10月1日から、企業等にはカスハラ防止のため、
雇用管理上、必要な措置を講じることが義務付けられることになったのです。
https://www.gov-online.go.jp/article/202510/entry-9370.html

この改正では、従業員を1人でも雇用するすべての事業主(大企業だけでなく、中小企業、
個人事業主、医療法人、NPOなども例外なく対象。経過措置や猶予期間なし)が対象に。
つまり、すべての企業は、単に「カスハラを禁止する」だけでなく、
雇用管理上の措置を講じることが求められるようになります。

ちなみに、「ハラスメント」という言葉は、
1973年、マサチューセッツ工科大学(MIT)の職員だったメアリー・ロウが、
職場内の性差別に関するレポートのなかで「セクシャル・ハラスメント」という
造語を用いたことが始まりだといわれています。
その後、1980年に米国の政府機関(EEOC)が、職場におけるセクシャル・ハラスメントの
公式なガイドライン(禁止ルール)を初めて策定したそうです。

日本でも1989年に提訴された事件から「セクハラは不法行為である」と司法で認められた歴史的判例の誕生とともに、社会に「セクハラ」という言葉と概念が一気に定着。

その後、1999年男女雇用機会均等法改正では、事業主にセクハラ防止のための「配慮義務」(のちに「措置義務」へ格上げ)が課されるようになり、2001年頃〜「パワーハラスメント」という言葉が労働問題としての概念として共有され始めました。

2004年には公益通報者保護法 成立、2020年労働施策総合推進法 改正(通称:パワハラ防止法)により、大企業に対して、パワハラ防止対策が法律上の「義務」となりました(中小企業は2022年4月から義務化)。

それでも、厚生労働省の統計などを基にした近年の報道や調査によると、
例えば都道府県労働局へ寄せられるパワーハラスメントに関する相談件数は、
2020年度の約1.5万件から、近年では6万件を超える水準へと約4倍に急増しているもよう。

パワハラにとどまらず、セクハラやマタハラ、そして顧客や取引先からの理不尽な要求である「カスハラ」など、あらゆるハラスメントの境界線が曖昧になり、現場の負担は限界に達しつつあるといえそうです。
「お客様は神様です」といった長年の商習慣に疑問を呈し、社会に改革を迫る一矢となるのでしょうか。
https://sdgs.yahoo.co.jp/featured/706.html
そんな背景のなか、10月1日~施行される「カスタマーハラスメント(カスハラ)」。
そんな中、こんな調査を見つけました。

「カスタマーハラスメント実態調査」
( 2025年8月発表 株式会社エス・ピー・ネットワーク)
https://info.sp-network.co.jp/news/kasuhara-survey2025

を見てみましょう。

■あなたは顧客から、不当要求やカスハラを受けたことがありますか
 ・個人顧客(消費者)
  「カスハラ・不当要求を受けたことがある」72.1%
 ・法人顧客(取引先など)
  「カスハラ・不当要求を受けたことがある」51.3%

■消費者からの不当要求やカスハラの内容について
 1位「威圧的な言動」33.8%
 2位「執拗な言動」32.6%
 3位「サービスの強要」24.7%

■法人顧客(取引先など)からの不当要求やカスハラの内容について
 1位「威圧的な言動」16.7%
 2位「値引きの強要」16.5%
 3位「サービスの強要」15.0%

■不当要求やカスハラが、あなたの会社の店舗や事業所に与えている影響について教えてください
 1位「従業員のメンタル低下・モチベーション低下」50.9%
 2位「対応の手間に伴う本来の仕事への圧迫」28.8%
 3位「従業員の離職」19.0%
 4位「特定の職員に対応が集中する負担」17.3%
 5位「職場内の風紀、秩序の悪化」9.6%

■あなたの会社でのクレーム対応等のマニュアルについて教えてください
 「クレーム対応マニュアルもあり、カスハラ対策についても定めている」24.2%
 「マニュアルが何もない」49.8%
 「クレーム対応マニュアルはあるが、カスハラ対策について定めはない」14.5%

ワンポイント★プラス:調査設計から学ぶ「リスクの多角的な捉え方」
今回の調査データを題材に、「設問設計のポイント」について考えてみましょう。
今回の調査では「従業員自身がどれだけ被害を受けているか(被害率の高さ)」といった
「被害の実態(消費者・取引先)」に加えて、
「従業員自身が加害者になっていないか(加害の目撃・見聞き)」という、
多角的な側面を同一のフレームワークで数値化しています。

■カスハラの被害ではなく、加害についての質問です。
あなたの同僚や上司などが、取引先や社外の事業者(飲食店や量販店など日常生活で利用する店舗等)に対して、カスハラを行っていることを見聞きしたことはありますか。*1年以内

 1位)「カスハラ加害者を見聞きしたことがある」16.1%
 2位)「特に見聞きしたことはない」83.4%

■(同僚や上司のカスハラ加害を見聞きしたことがある回答者)見聞きした内容
 1位)「取引先に対する粗暴行為を見たことがある」6.2%
 2位)「業界の慣習として当然のように行われている」6.1%
 3位)「謝罪文、反省文、経緯書提出の強要」4.3%

これは、本法律の改正によって、カスタマーハラスメントを従業員が受けた際の対応はもちろん、
従業員側にもカスタマーハラスメントの加害者にならないような教育・啓発が必要であるという法律の特性上、両面から把握する必要性があるという背景があります。
分析、リリースの際に、こうした多面構造を意識した分析が求められるケースがあります。
調査企画の際には、法律を紐解き、カスタマー側だけ、企業側だけの言い分にならないような
調査設計、分析が必要とされるテーマであるかどうかも吟味したうえで検討を進めて
いくことが必要かもしれません。

ぜひ、今後の調査設計の際の参考にしてみてください。

※皆様からのご質問やご意見もお待ちしています。
どうぞお気軽にユッキにご連絡ください。