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「日本の営業活動における無駄な時間」 前回から約1,500億円分増加し約1兆円に

さて、4月に新入社員として入社した方も3か月目。
早くも独り立ちして仕事が忙しくなってきた…という方も増えているでしょうか。
オンライン・オフラインを含め多世代とのコミュニケーション能力が高い若い世代。
各領域の営業として、すでに醍醐味を実感している方も増えているでしょうか。

AI時代にもなくならない、と言われている「営業職」ですが、
そのコミュニケーション手法はDXにより、さらに科学され、
新たな職種として生まれ変わる兆しも出ています。
「カスタマーサクセス」もその一つ。
従来の対面型のみの営業職では、見込み顧客の獲得から商談設定・受注、
購入・契約後の顧客に対するフォローまで全て担うのが主流でした。

しかし、データ化により複数担当による状況の可視化が実現し、
これらのプロセスを分業化した、オンラインツールなどを用いた
見込み顧客の獲得から商談設定・受注までを行う「インサイドセールス」、
購入・契約後の顧客に対するフォローを通じて自社サービスの価値を最大限に引き出せるよう支援する
「カスタマーサクセス」との共存も増えてきました。

国内では2025年頃から20代人口が急激に減少するため、今後も生産人口は減少予測。
今後も、インサイドセールスやカスタマーサクセス職のニーズは拡大すると考えられ、これからの新しい時代に求められる営業職となっていくと予想されます。

ということで、今回は日本の営業職について調査したこの調査を見てみましょう。

『日本の営業に関する意識・実態調査2023』
(HubSpot 2023年2月発表)
https://teamwork.cybozu.co.jp/blog/paternityleave.html

■1日の労働時間
 ・2021年12月調査:9.63時間 
 ・2023年 2月調査:9.88時間 →0.25時間増加

■「無駄」と感じる時間
 ・2021年12月調査:20.76% 
 ・2023年 2月調査:22.37% →約1.6pt増加

■営業に関する業務の中で「無駄」と思うもの(複数回答)
 ・1位「社内会議」51.7%
 ・2位「社内報告業務」39.5%
 ・3位「社内のコミュニケーションや情報共有」(未公表)

■「訪問型営業とリモート営業のどちらが好ましいか」
 ・売り手―営業担当(2022年 ←2019年)
 ・訪問営業が好ましい 58.4% ←63.1%
 ・どちらでもよい   25.6% ←26.0%
 ・日訪問営業が好ましい16.0% ←10.9%

 ・買い手(2022年 ←2019年)
 ・訪問営業が好ましい 39.6% ←53.7%
 ・どちらでもよい   37.9% ←25.2%
 ・日訪問営業が好ましい22.5% ←35.0%

さて、今回の「ワンポイント★プラス」は…
調査から予測値を算出する方法」についてです。

本調査では、冒頭の結論
「日本の営業活動における無駄な時間」前回から約1,500億円分増加し約1兆円に
をサマリーとして強く打ち出しています。

この算出方法について丁寧に見ていきたいと思います。

まず、複数回答に対して、全体回答加重平均により、
「働く時間のうち22.37%を無駄だと感じる」という結果を算出。

・給与所得者の時給2197円(「令和3年分民間給与実態統計調査」国税庁)
× 一日の労働時間9.88時間(定労働時間8時間に、本調査1日あたり平均残業時間1.88時間を加算)
× 1か月営業日数21営業日
× 法人営業就労人口80万人(令和3年賃金構造基本統計調査」小職種「営業・販売事務従事者」)
× 「無駄だと感じる時間」22.37%
とし、こちらを掛け合わせて金額換算していくと、年間9,802億円(約1兆円)
2021年12月調査時の8,294億円から約1,500億円増加した
という結果を算出しています。

このように、自社調査結果に加えて、公的に発表されている就労人口や営業労働時間などの
数値を掛け合わせて予測値を出していくことが可能となります。
市場全体の数値に換算することで社会的影響値をわかりやすく打ち出せるのです。
日ごろから公的調査をチェックし、知りえることと知りえないこと、
つまり、新たに何を調査し掛け合わせることで、知りたかった数値を算出できるのか?
について考えてみるのはとても興味深いものです。
思いもかけないインパクトのある情報を打ち出すヒントが見つかるかもしれません。
ぜひ、今後の調査設計の際の参考にしてみてください。

※皆様からのご質問やご意見もお待ちしています。どうぞお気軽にユッキにご連絡ください。