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スタートアップ経営者s(CEO) 報酬水準最頻値は2000万円以上

3月、卒業、人事異動を経て、いよいよ新たなステージでの活躍を前に
緊張とワクワクを抱えている方々も多い季節かと思います。
皆さんの周囲でもスタートアップに転職した人、
あるいはスタートアップから転職してきた人などといった話題も
増えているのではないでしょうか。

2022年 1月、年頭記者会見で岸田総理が「スタートアップ創出元年」宣言し、
5 カ年に関する官民によるスタートアップ集中支援の全体像が公開されました。
このスタートアップの定義ですが、概ね以下のような特徴を持つ企業とされているそうです。
 1.革新的なイノベーションで社会変革の実現を目指す企業
 2.短期間で圧倒的な成長力で、大きな企業価値を実現。創業10年未満の企業を指すことが多い
 3.M&AやIPO(新規株式公開)を目指す経営方針

そもそも、なぜ今、政府を挙げてのスタートアップ支援なのか…という背景を考えてみましょう。
世界時価総額ランキングTOP50を紐解くと、バブル期で過去株価最高値といわれていた1989年は
TOP50のうち32社が日本企業でした。

一方、2024年のTOP50では、米国のメガITがほぼ独占しています。
Apple、マイクロソフト、Alphabet、Amazonを筆頭としたいわゆる「GAFAM」にテスラと
NVIDIAを加えた7社「マグニフィセント・セブン」が上位に。
ちなみにこのキーワードの、マグニフィセント(magnificent)は「豪華な、壮大な」などを意味し、
市場における7社の圧倒的な存在感を示しているそうです。

そんな中、日本企業は29位のトヨタ自動車1社がランクインするのみと残念な結果に。
こうした危機感を背景に、日本政府としても日本の未来を担うスタートアップを育成すべく、
人材、資金、オープンイノベーションなどを計画の柱とした支援に乗り出しているところなのです。

そこで気になるのがスタートアップの資金調達の状況。
国内スタートアップの資金調達額は、直近10年間でなんと約 10倍に成長しています
(2013年:877億円 → 2023年:約8,500億円(出典:「INITIAL」2024年 1月 25日時点)。

一方、資金調達を受ける側のスタートアップ数として、
大学発ベンチャー企業数は増加傾向で、2022年は過去最高の伸びだったもよう。
( 2014年:1,749社 → 2022年:3,781社。2022年 10月末日現在で設立されている大学発ベンチャー対象。出典:経済産業省「令和4年度大学発ベンチャー実態等調査」)。
同時に、時価総額 10億ドル以上の 国内ユニコーンも増えており
(2015年:0社 → 2023年:7社 2015年 12月時点 出典:「CB Insight」)、
日本の未来に希望の光を感じ始めました。

そんななか、こんな調査を発見しました。

『スタートアップサーベイ2023』
(三井住友信託銀行株式会社 2023年 5月発表)
230508.pdf (smtb.jp)

本調査は、IPO等でEXITを志向する国内スタートアップ企業を中心に 528社からの回答を
調査・分析した、スタートアップ企業に関する国内最大級のサーベイの内容です。
早速、詳しく見てみましょう。

■目下の経営課題(複数回答)
 1位「人材採用・人事制度構築」346件
 2位「販路開拓・拡大」342件
 3位「プロダクト・商品開発」305件
 4位「エクイティ・有利子負債の調達」292件
 5位「経営管理体制の構築」200件

■ストックオプション付与(従業員数別)
 ・1-20人 52%
 ・21-50人 86%
 ・51-100人84%
 ・101~ 人 86%

■ストックオプション付与(売上別)
 ・10億円未満 34%
 ・50億円未満 85%
 ・100億円未満95%
 ・100億円以上100%

■CEO報酬水準
 1位「2000万円以上」
 2位「400万円以下」
 3位「900万円~1000万円未満」

さて、今回の「ワンポイント★プラス」は…
平均金額を公開することの是非」についてです。
スタートアップと一言でいっても、そのフェーズによって
売り上げ規模や資金調達額が全く異なるわけです。
最後の設問で見ていただいたCEOの報酬水準ですが、こちらも規模別によって
最頻値が最高額と最低額に大きく 2 極化しています。
こうした現状を表す数値に対して、平均値で公開してしまうと
調査リリースを閲覧する人のミスリードを引き起こしかねません。

そこで本調査では、最頻値を公開するとともに、
「 55%の企業が 1000万円以上」という分析をしています。
これは調査結果により、何%、金額のどこで線を切るかは悩ましいところかと思います。
迷ったら、本分析のように、半数超えを基準に線引きをすると、
「過半数」はどちらに偏っているのかと大意を把握するのに役立ち、
分かりやすい結果になるのではないかと思っています。

また、結果に対して比較対象がないと分析がしづらいため、
政府統計など外部調査から引っ張ってきた「一般民間企業の平均価格」等との比較なども
分かりやすいと思います。
本調査では、CFO「 58%の企業が 1000万円以上」、CTO「 47%の企業が 1000万円以上」、
かつCFO,CTOにおいては「 2000万円以上」は「最頻ではない」という比較対象も同時に公開し、
結果を比較しやすくなっています。

こうした結果にばらつきがあり、平均値では意味をなさない数値の場合には、
本分析の方法論は、現状分析に役立つ数値の公開方法の一つになると思います。
ぜひ、今後の調査分析の際の参考にしてみてください。

※皆様からのご質問やご意見もお待ちしています。
どうぞお気軽にユッキにご連絡ください。