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今月の気になる数字 今後5年で理系博士採用増企業2割以下、理工系女性採用増企業は6割超。

昨今、「リケジョ」に代わり、「STEM女子」という言葉が
話題になっていますが、ご存じでしょうか。
「STEM」とは英語の頭文字を取ったもので、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の各分野を指します。
STEM人材育成の教育として、これらの 4 つの分野を統合的に学ぶことを重視しており、
各分野が相互に関連し合っていることを理解することで、
より深い学びと実践的なスキルを身につけることができると考えられています。

現代社会におけるイノベーションを推進する上で非常に重要な役割を果たすSTEM人材。
この分野を目指す日本の女性が世界比較で少なすぎるということが課題と
なっていることが、「STEM女子」という言葉の背景にありそうです。
多様な人材がいてこそ、イノベーションが生まれる。
日本の研究・技術開発力を高め、成長と社会課題解決のためにも、
産官学一体となり、女性の力を生かす環境づくりを急ぐべき、
ということが各界で叫ばれ始めています。

経済協力開発機構(OECD)によれば、
大学など高等教育機関の入学者の女性割合が
加盟国平均で工学系 26 %に対し、日本は 16 %。
自然科学系では平均 52 %に対し、日本は 27 %と格差が大きく、
いずれも比較可能な国のなかで最下位となっているそうです。

IMF(国際通貨基金)のレポートでは、
こうした問題は、女性の才能不足ではなく、日本に存在するSTEM分野の女性に対する
さまざまな障壁を反映する、とされています。
STEM人材を経済成長の原動力とするモデルを用いた研究によると、
STEM職に就く女性の障壁を取り除けば、日本の生産性の伸びは 2 割加速し、
生産性上昇の加速は、賃金上昇の加速、消費増加を促し、
日本の全労働者福祉の平均 4 %上昇につながる、と論じられています。
STEM職種への女性進出はいわば、日本の命運を握っているともいえそうです。
https://www.imf.org/ja/News/Articles/2023/11/13/cf-japans-economy-would-gain-with-more-women-in-science-and-technology

さて、今月の「気になる★数字」
今後 5 年で理系博士採用増企業 2 割以下、理工系女性採用増企業は 6 割超
についてみてみましょう。
015_kekka.pdf (keidanren.or.jp)

経団連が2024 年 2 月に発表した
「博士人材と女性理工系人材の育成・活躍に関するアンケート結果」によると、
回答した経団連加盟企業約 120 社のうち、
理系博士の採用を今後 5 年で増やしていくとした企業は 20 %を下回っている一方で、
理工系女性従業員(学士、修士、博士)を増やしていくと回答があった企業は 6 割を超えたそうで、
博士人材よりもSTEM教育を受けた女性採用に積極的という分析となっています。

採用したい専攻分野は「工学系」が 8 割前後で最も多く、
次いで「数理・データサイエンス・AI系」約 7 割、「理学系」 6 割前後。
一方、OECD調査では、日本のSTEM人材における女性比率は 3 割以下(工学系では 2 割以下)。
そもそも人材が不足している中、熾烈な獲得競争が始まっている状況だと言えそうです。

理工系女性採用の拡大理由は、
「イノベーション創出」、「事業の進展に向けた多様性」といった回答が 9 割弱。
また、「女性管理職・役員登用を進めるため」という回答も 8 割超えだったとか。
ちなみに、政府は 2030 年までに役員の女性比率 30 %以上を掲げているのですが、
2023 年 12 月に公開した経団連調査では、
経団連会員企業(東証プライム+スタンダード市場上場企業)の役員の女性比率は 13.1 %。
STEM人材が求められる企業に限らず、女性活躍については、
まだまだ現実とのギャップが大きいことも背景にありそうです。

ちなみに、経団連の本レポートの巻末には、
博士人材等が選択可能なキャリアパス 7 事例 や、
企業が大学と連携して取り組んでいる大学院教育プログラム 29 事例が掲載されています。
こちらを見ていると、まだまだ、新しいSTEM人材の活躍場所が広がっていくような
明るい気持ちになりました。
日本の新しい未来を創るSTEM人材に期待していきたいと思います。

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