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アフターコロナ第1世代の新入社員 8割以上が超やる気⁉

ゴールデンウイークはいかがお過ごしでしたでしょうか。
4月から新しい環境で疲れた心身を癒すのにちょうどよい大型連休。
最近では「5月病」ならぬ「4月病」が増えているとか…。
大型連休中も予定を詰め込みすぎず、ゆっくりと休むことが大事である
という専門家の意見もあったようです。

ちなみに、この「4月病」ですが、
頭痛、めまい、倦怠感…など体の機能を保つ自律神経の乱れから起こる症状で
病院を訪れる患者が4月に増えているもよう。
新年度に伴う職場や家庭の環境変化だけでなく、
寒暖差なども大きいこの季節は、自律神経に負担がかかるそうです。
また、春は気分が高まりやすく、気づかないうちにオーバーワークに
なってしまっていることも一因とされているそうです。

この春から働く新社会人1,000人・先輩社会人1,000人に
「働くことと不調に関する意識調査」を実施した株式会社ツムラ。
新社会人の6割は「社会人として多少の不調は我慢すべき」と回答し、
一方、先輩社会人の8割は「社会人だからといって不調を我慢しなくていい」と回答した、
という調査結果も発表しています。20240301.pdf (tsumura.co.jp)

本調査の調査時点の対象者は、高校・専門学校・大学(短大含む)・大学院に在籍中で
2024年3月に卒業後、働く予定の1000人。
働く意気込みが高いことはよいことなのですが、無理しがちな新人の方々も多いことが
浮き彫りになっています。
4月から新社会人として働くに当たっての現在の心境について、
「仕事を全力で頑張りたい」(80.4%)、「なるべく早く成長したい」(78.4%)と回答。
「Z世代だからと甘やかされたくない」(68.9%)、
「負荷が低すぎてやりがいを感じられない職場は嫌だ」(67.4%)という、
甘やかされる・ゆるすぎる職場は望まないという声も大きい結果でした。
ということで、頑張りすぎてしまう人が増える4月でしょうか。
大型連休明けにも焦らず、しっかりと社会人経験を積んでほしいと思います。

2024年度新入社の方々の心意気の高さに触れて驚きましたが、
どのような社会背景の中で育った世代なのでしょうか。
少し、この世代が育った社会背景について整理してみたいと思います。

大学新卒の新入社員の多くは、2002年前後の生まれ年であると考えられます。
一般的に1990年代後半から2012年頃の世代を指す「Z世代」に
当てはまるのではないでしょうか。

この「Z世代」とは、1960~1980年代前半を指す「X世代」に対して、
日本では就職氷河期にあたるY世代(ミレニアム世代)のさらに後の世代。
スマートフォンやSNSなどソーシャルメディアが進歩した社会で育ったことも特徴。

「ゆとり教育」が2002年から開始しており、
2024年の新入社員は小学校からゆとり教育を受けている方も多いと思います。
この「ゆとり教育」は詰込み型の教育を見直し子どもの個性を伸ばすために
設けられた制度でしたが、運動会で「仲良く一緒に」ゴールさせるなど、
個性を発揮しにくい場面が増えてしまったという賛否両論の社会的議論も巻き起こるなかで、
学生時代を過ごしてきたともいえるでしょう。

また、バブル崩壊やリーマンショック後の不景気などを経て、
経済は不安定なものと捉えている側面も。
阪神淡路大震災や東日本大震災ほか水害など自然の驚異、
世界でもテロや戦争などの情勢不安なども頻発し、
世界や地球規模の変化をより身近に感じてきた世代でもあるかもしれません。

新型コロナウィルスの影響は高校卒業以降に大きく受け、
大学時代には、ほぼオンラインによるコミュニケーションが中心だったようで、
コロナウィルスが「5類」へ移行後、アフターコロナとして最初に入社する世代だそうです。
組織に新たな風を吹かせてくれそうな期待の新人の方々です。

そんななか、2024年度新入社員を「アフターコロナ第一世代」と名付けた
こんな調査を発見しました。

『新入社員意識調査2024』
(ALL DIFFERENT株式会社2024年4月公開)
https://www.all-different.co.jp/column_report/research/research_101_240422.html

この世代の意識を少しのぞいてみましょう。

■自分が成長するために必要だと思うものは何か
・1位「仕事を通じた成功体験」67.8%
・2位「仕事を通じた失敗体験」58.9%
・3位「上司や先輩からの事後のフィードバック」55.0%
・4位「振り返りの習慣」43.1%
・5位「上司や先輩からの事前レクチャー」30.1%

■自分のキャリアアップにつながる理想の上司とは
・1位「間違いを指摘して正してくれる」57.4%
・2位「自分のことをよく見てくれ、声をかけてくれる」41.2%
・3位「具体的に手順を細かく教えてくれる」40.6%
・4位「仕事やキャリアの悩みを相談できる」40.2%
・5位「責任と自由を持たせ、仕事を任せてくれる」33.2%

さて、今回の「ワンポイント★プラス」は…
気持ち/意識の測定方法」についてです。
本調査の分析結果として表題に表示されていた
「新入社員のなかで高い意欲を示した人が82%」という分析結果は、
下記の方法で取得されていたものです。

===
■これからの仕事に対して「やるぞ!」という気持ちをどれくらい持っているか
(意欲について、0%~100%で回答)
・「やる気度が高い」(70~100%と回答した人)82.0%
・「まあまあやる気度がある」(40~60%)15.3%
・「やる気度が低い」(0~30%)2.7%
===

本調査は、とてもユニークな調査方法だと思います。
就職直前の方々に、入社後の意欲を調査するという、
大変難しい調査だったと思います。
0-100%で数値(自由)回答をさせ、それらをクラス別にまとめて
その意欲の高さを集計、分析しています。
数%刻みで選択式にする方法もありますし、
数値の自由回答にした場合は、平均値を出すことも可能となります。

ただし、以前にも、注意事項としてお伝えしましたが、
平均値にしてしまうことで全体像が見えにくくなってしまうこともあります。
数値の分布を見たうえで、平均値を公表すべきか検討しなければなりません。
本調査のようにすれば、分布も含めた分析がしやすくなり、
全体像が見えやすい調査形式だといえると思います。

いずれにせよ、意識や意欲を測るということ自体が、
実態調査としては難しく、あまり定量調査には向いていないのかもしれません。
意識や意欲というものはベースとなっている数値が一人ひとり異なることや
数値を決定した背景などにも目を向けるべきだからです。
ですので、できるだけ数値の背景にある定性コメントも併せて取得し、
分析の際の補助線にしておくことが重要かと思います。
今回のように、こうして、新入社員の意欲の高さを数値で証明していくという
アプローチで多くの方の目を引くことも可能となった調査方法は大変興味深いと思います。
ぜひ、今後の調査分析の際の参考にしてみてください。

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