2024年7月3日より新紙幣配布開始されて1か月超。
配布開始された7月1カ月間では、手にしたという方がかなり少ない様子でした。
調べてみると、新紙幣が発行直前の6月末時点で3種類合わせて
52億枚が準備されていたとのこと。
加えて2025年3月までに22億8,000万枚を準備。
旧紙幣の46%にあたる74億8,000万枚にする計画だそうです。
順次手元に届くようになるのかもしれませんね。
さて、そもそもなぜ、20年に一度といわれる新紙幣切り替えを
行わなければならないのでしょうか。
一説によると偽造対策と、技術の継承だとか…。
まずは偽造対策から。
今回の新紙幣、世界のトップクラスの最新テクノロジーが使われているそうです。
偽造防止機能はもちろん、目の不自由な方のための識別技術や
外国人でもわかりやすいユニバーサルデザインなどにも工夫が凝らされています。
特に、「すき入れ」(すかし)と「ホログラム」に最新の偽造防止技術を採用。
高精細すき入れ(すかし)
お札を光にかざすと肖像などが浮かび上がる技術。今回の新札では肖像の背景に、
高精細な菱形模様が連続的に入り、さらに偽造が困難になっているとか。
3Dホログラムの採用
金属光沢があり、角度を変えることで違った模様が見える技術。
単なるコピーや印刷では再現できないため、偽造防止に有効。
さらに今回の新札では、立体的な肖像が左右に回転する「3Dホログラム」を世界初の採用。
特殊印刷に方法による識別マーク
手で触って違いを識別できるよう、インキを高く盛り上げる特殊な印刷方法も採用。
この特殊印刷技術もホログラム同様、偽造防止には効果的であるとともに、
ユニバーサルデザインとしても有効です。
旧札では種類ごとに形を変えていたのを、新札では、11本の斜線に統一。
種類ごとに同じ場所を手で触るとそのざらつきの違いで、識別できるようになっているもよう。
また、目の不自由な方のためには、お札識別スマホアプリも作られています。
アプリを起動してカメラにお札を掲げると音声と文字で知らせてくれるそうです。
お札識別アプリ「言う吉くん」 独立行政法人 国立印刷局 (npb.go.jp)
さて、次は技術的継承という観点から、
この20年に1度の新券切り替えを考えてみましょう。
偽造防止技術にかかわる技術者も人間である以上、世代交代が必要ですね。
この世代交代の前に新紙幣を発行しなければ技術者が不足してしまったり、
その技術自体の継承が十分に行われないということも考えられます。
もし定期更新を止めたり、あるいは更新間隔が長くなると
開発のノウハウが失われてしまう可能性があるのです。
今後デジタル化に踏み切って数10年後に、やはり紙の紙幣に戻しましょう…
ということになると、過去の技術が受け継がれず新紙幣が発行できない…
ということになるかもしれませんね。
そういった意味でも、紙幣の定期更新は必要なのですね。
最後の新札になるかもしれない今回のリニューアルについて、興味は尽きません。
さて、今月の「気になる★数字」
「新紙幣、7月時点で52億枚を用意。経済効果試算は1.6兆円」
についてみてみましょう。
この経済効果について調べてみたところ、主に事業者側の新札対応に尽きるようです。
自動販売機、ATM、セルフレジなどを設置している事業者にとって、
新札対応可能な新機種への入替え、システム改修が必要になります。
財務省が新札発表と合わせて発表した日本自動販売システム機械工業会試算では、
新紙幣対応で合計1兆2,600億円のコストがかかる見込み。
2021年発行の新500円硬貨については、今回の新札発行のタイミングに合わせて、
新機種購入やシステム改修などの対応をするところが多そうです。
そのため、しばらく新500円硬貨対応の自動販売機が少なかったのかもしれません。
加えて銀行やコンビニに設置されているATMの新札対応コストは
約3,709億円(GiG Works AddValue Inc.)。それらを足し上げると約1兆6,300億円。
試算された経済効果は、こうしたシステム入れ替え費用だったのですね。
経済効果といわれると、生活者の私たちの消費が活発化するような効果がありそうな気が
していましたが、生活者にはあまり大きな影響がなさそうな気がします。
早く、自動販売機などの新札対応を待ち望むくらいでしょうか。
いっそ、お札の肖像を人気アーティストや日本発祥のアニメキャラクターなどにしてしまえば、
世界中のコレクターが日本円買いを始めて、円高効果に影響を及ぼしてくれそうな気もしますが…。
ぜひ、新紙幣に込められた偉人の生き方に向き合い、生活していきたいと思います。
新紙幣の経済効果による経済活性化が生活者にとってもよきものになりますように
今後も見守っていきたいと考えています。
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