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「リスキリング」3年以上学び続けて年収30万円アップ?!

今年の夏は本当に暑かったですね。まだまだ残暑は厳しいですが
夏休みを終えた子どもたちが学校に戻る姿を見て、夏の終わりを実感します。
今年は、アジアの各都市などと比較しても日本の気温が高かったのが驚きでした。
街は9月の声ですっかり秋物ファッションがウインドウを飾るようになり
スポーツの秋、食欲の秋、学びの秋…の準備を始めているようです。

学びの秋といえば、「リスキリング」という言葉をご存じでしょうか。
2022年に岸田政権が発足した際の所信表明演説で
「リスキリング支援に5年間で1兆円を投じる」と表明したのを皮切りに、
一気にこの言葉が有名になった気がします。
リスキリングとは、新しい職業に就くため、または、デジタル化など社会環境変化を背景に
現在の職業でも求められる技術変化適応をするために、新しいスキルを獲得すること。

「リスキリング」とはRe-Skillingのこと。
この概念は、19世紀末の工業革命に生まれたモノだそうで、
当時も、多くの労働者が新しい技術を学ぶ必要がありました。
現代においても、AIやIoTなどの技術進歩に伴い、新しいスキルを身につけることが
求められていることから、この言葉が使われるようになっているもよう。

これまでのように、既存領域の技術や知識を深めていく「スキルアップ」だけでなく、
大きな社会変化に対応できるように「Re=再」+「Skilling=学ぶ」→「学び直し」の時代なのですね。
社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表の後藤宗明氏によると、
「リスキリングは単なる学び直しではなく、組織が従業員に新しいスキルを再取得させること」と話しています。
個人の意識変化はもちろんですが、個人を取り巻く企業、社会全体で
新しい時代に向かっていかなければならないのかもしれません。
そんななか、最新の意識調査を発見しました。

『ミドル・シニアの学びと職業生活についての定量調査』
(株式会社パーソル総合研究所 2023年8月公開)
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/middle-senior-learning.html

■学び直しをする理由
 1位 「スキルアップのため」 45%
 2位 「キャリアチェンジのため」 30%
 3位 「自己啓発のため」  25%
 4位 「趣味・興味のため」  20%
 5位 「社会貢献のため」  10%

■学び直しをしない理由
 1位 「金銭的余裕がない」  40%
 2位 「時間的余裕がない」  35%
 3位 「必要性を感じない」  25%
 4位 「学び直しの方法がわからない」  15%
 5位 「家族や仕事の都合」  10%

■学び直しの効果
 1位 「スキルアップを実感」  60%
 2位 「キャリアアップを実感」  40%
 3位 「自己肯定感の向上」  35%
 4位 「人脈の拡大」  25%
 5位 「収入の増加」  20%

さて、今回の「ワンポイント★プラス」は…
調査結果から、特定層の実質ボリュームをどのように把握するか」というテーマについてです。
上記でご紹介した「学び直しに対する意識調査」の設問のなかで、
「学び直しの効果」の設問で「スキルアップを実感」60%や、
「収入の増加」と回答した方が20%いました。
こちらの数値に関して、大きいと感じた方もいらっしゃるかと思います。
その際には一度立ち止まり、
「学び直しによって、「スキルアップを実感した人」、「収入の増加」した人は
全体のなかでどの程度のボリュームがあるのか」を考えてみる必要があります。
本調査では、下記の調査結果も同時に出し ています。

■就業しているミドル・シニアの中で、学び直しをしている人(ウエイトバック処理)
 ・学び直しをしている 14.4%
 ・趣味の学習だけをしている 8.2%
 ・特に学んでいることはない 77.3%

調査概要と上記結果から、抑えなければならないのは
まず、調査対象がミドルシニア(35歳~64歳)の就業者であること。
労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の要約によれば、
35歳から64歳までの就業率は78.9%となっています。
つまり、ミドル・シニア(35歳-64歳の就業・非就業含めた)全体を母数として考えると、
趣味も含めて学んでいる人口は、
就業者比率78.9% ×学習者比率22.6%=17.83%
全谷の約18%であることが分かります。

学び直しによって「収入の増加」があったと回答した人が20%という結果
がありましたが、これは「ミドル・シニア全体」を母数とすると
就業者のうち学んでいる人18%×収入増加20%=3.6%となります。
調査結果としては間違いではありませんが、
ミドル・シニア全体を母数として見ると非常に小さい数字であることが分かります。

■ミドル・シニア正社員の学び直し/学び直していない人の個人年収差推計
 ・学び直し実施1年未満 +12万円
 ・学び直し実施1年以上 +17万円
 ・学び直し実施3年以上 +30万円

上記の調査結果も非常に興味深い結果となっていますが、
こちらは就業者のうち、更に正社員として特定されていることから、
調査条件や分析手法について良く読みこんだうえで調査結果を受け止める必要がありそうです。

ぜひ、今後の調査分析の際の参考にしてみてください。

※皆様からのご質問やご意見もお待ちしています。
どうぞお気軽にユッキにご連絡ください。