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温浴施設に求めるもの。 銭湯は「近さ」、スーパー銭湯は「コスパ」

残暑も少し和らぎ、ようやく秋しい日も増えた今日この頃。
温泉が恋しい季節となりました。
温泉旅行に行くには、なかなか時間がなくても、
都内にはたくさん銭湯やスーパー銭湯もありますね。
サウナブームも相まって、温浴施設が紹介される機会も増えてきた気がします。
日経NEEDS業界解説レポート スパ・スーパー銭湯 | NIKKEI COMPASS - 日本経済新聞によると
スパ・スーパー銭湯等、宿泊を主目的としない温浴施設を運営する
国内事業は 2022 年 ~ 2023 年に利用者数も回復し、売り上げも伸びているそうです。

公衆浴場法上の一般公衆浴場とは、「銭湯」と呼ばれているもので
料金も都道府県が定めた一律料金となっています。
東京都だと令和 5 年 520 円、来年8月からは 550 円に値上がりすることが発表されています。
入浴料金のお知らせ | 【公式】東京銭湯/東京都浴場組合 (1010.or.jp)

ちなみに、「スーパー銭湯」と呼ばれている日帰りの温浴施設は「その他公衆浴場」に定義されていて、
露天風呂やサウナ、ジャグジーなど多種多様の温泉施設だけでなく、
漫画を読んだりゴロ寝ができたりするリラックススペースや飲食施設などもあったりします。
こちらは施設側が料金を自由に設定できるため 500 円~ 1 万円くらいまで多種多様。

厚生労働省の「衛生行政報告例」なるものを確認してみると
日帰り温浴施設やスーパー銭湯、健康ランド、スパやプールなどを含む
私営の「その他公衆浴場」は、全国で 9239 施設( 2023 年 3 月末)もあるそうです。
前年比で 125 施設( 1.4 %)も増加しているもよう。
確かに最近、遊園地や高速道路サービスエリア内やショッピングセンター、
食堂やカフェなどとの複合型施設になっているところも増えてきた気がします。
ショッピングや遊んだついでに、お風呂で心も体も温まれる…というのは、
家族全員で楽しめる仕掛けになっていて、本当にありがたいサービスです。

温浴施設の業界第 1 位で国内 38 店舗を持つ極楽湯ホールディングスの
2024 年 3 月期(連結)の国内売上高は 130 億 3300 万円だそうで、なんと前期比 11.7 %増だとか。
来客数回復に加え、人気TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』とのコラボして
5.8 %も売り上げ増加したそうです。
まさにファミリーで楽しむレジャースポットになっていることを実感します。
こちらの極楽湯は海外展開もしているそうで、中国のグループ店は 14 店あるそうです。
こうした温浴施設は、世界共通の楽しみ方になってきているのかもしれませんね。
さて、そんななか、こんな意識調査を発見しました。

『温浴施設利用に関する意識調査』
(株式会社アクトパス 2023 年 4 月)
https://aqutpas.co.jp/research202304/

■温浴施設の利用頻度
・銭湯
 1位 「月に数回」 27.8%
 2位 「数カ月に1回」 21.3%
 3位 「年に数回」 16.4%
 4位 「週2~3回」 13.7%
 5位 「週1回」 13.4%

・スーパー銭湯・日帰り温泉
 1位 「月に数回」 30.9%
 2位 「数カ月に1回」 22.6%
 3位 「年に数回」 16.1%
 4位 「週1回」 13.9%
 5位 「週2~3回」 9.8%

■重視するポイント
・銭湯
 1位 「近さ」 25%
 2位 「サウナ」 18%
 3位 「温泉」 17%

・スーパー銭湯・日帰り温泉
 1位 「コスパ」 18%
 2位 「サウナ」 17%
 3位 「近さ」 14%

■滞在時間
・銭湯
 1位 「90分」 39%
 「2時間」 39%
 3位 「1時間」 29%

・スーパー銭湯・日帰り温泉
 1位 「2時間」 44%
 2位 「半日」 31%
 3位 「90分」 14%

さて、今回の「ワンポイント★プラス」は…
選択肢をMECEにするコツ」というテーマについてです。
MECE(ミーシー)とは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で、
漏れなくダブりなくという意味。
つまり、必要な要素を網羅し、重複しないようにするということです。
実はこのMECEは、グローバルで活躍するコンサルティング会社
「マッキンゼー・アンド・カンパニー」で使われていたフレームワークから始まったそうです。
それが現在、一般ビジネス用語として定着しているから驚きです。
調査選択肢の設定に漏れやダブりがあると回答者が正確な状況を回答しづらいだけでなく、
調査結果に対する信頼感も損なわれてしまいます。

では、どのように考えたら、MECEな選択肢の設計ができるでしょうか。
事象や問題・課題を構造化し、小さな要素に分解する、
いわば数学でいうと因数分解的に整理をすることがMECEの基本。
まず、問題の全体像を捉え、要素分類をすることから始めてみましょう。

例えば、温浴施設に必要な機能を考えるときに、サウナ、自動販売機、マッサージチェア…など
思いついた順に選択肢を上げていく方法もありますが、それでは漏れや
似たような選択肢が何度も上げられて、ダブりも生じやすくなります。
MECEに考える場合は、まず、分類から考えることです。
温浴施設に必要な機能を考える場合、お風呂に入る前、途中、後に必要な機能を分類する方法や、
性年代別に求められる要素を分類する方法、物理的な設置物と無形サービスに分類するなどの方法があります。
大・中分類を決定した後に、それぞれのカテゴリごとに小項目を挙げていくことで
漏れやダブりを省いていけるというメリットがあります。

今回の調査では、下記のような設問がありました。
■出先でふと思い立って温浴施設を利用することがありますか
・男性
 「ない」 15%
 「ごく稀にある」 0%
 「たまにある」 1%
 「ある」 45%
 「しょっちゅうある」 39%

・女性
 「ない」 40%
 「ごく稀にある」 1%
 「たまにある」 2%
 「ある」 40%
 「しょっちゅうある」 19%

上記の選択肢は、5 件法( 5 段階評価)に近い形での設定になっているとも見えますが、
回答する場合、やや悩ましい気がします。
こちらをMECEで考えると、まずは「ある」「なし」に大きく分類することになります。
「ある」の中に「しょっちゅうある」「たまにある」「ごくまれにある」という選択肢が含まれる構造となります。
現状のままでは、回答する側は、パッと見て、「ある」にチェックをしてしまう場合があるかもしれませんし、しょっちゅう、たまに、まれに…という言葉の定義がやや曖昧であることもあり、
MECEには捉えづらい気がします。
できれば、「たまに」「ごく稀に」という表現よりも、
「年に 1 - 2 回はある」「年に 3 - 4 回はある」…といった数値的なものに置き換え、
選択肢をMECEに設計していくと、より正確な回答を得られる可能性があると思います。
ぜひ、今後の調査設計の際の参考にしてみてください。

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