entry_image

今月の気になる数字「都道府県平均の関係人口は189万人 +潜在1480万人。石川県が急増」

秋も本番。行楽シーズンとしてもぴったりの季節が続きますね。
日本国内の温泉や紅葉も素晴らしい季節なので、この秋はどこに旅行に行こうかと迷っています。
そんななか、こんなニュースが飛び込んできました。

厚生労働省が5月に公表した人口動態統計によれば、
2024年1~3月の出生数は、前年同期比で6.4%も減少したもよう。
2023年の年間出生数は、75万8631人と統計開始以来最低でしたが、
さらに下回る予測が発表されました。
そもそも、約40年前の1983年時点で出生数は150万人超で、約2倍でした。
このまま年間6.4%減で少子化が進むと、数字上では10年でさらに半減することになってしまう。
人口減少による「消滅都市」という言葉も、以前に話題になりましたが、
ますます深刻な地域も増えてしまいそうで心配になります。

一方の生活者を見てみると、未婚化は進み、生涯未婚率も年々上昇傾向に。
20代正社員の男女のうち25.5%が「子どもは欲しくない」と回答しているそうで、
その欲しくない理由については、「お金が足りない」、「増税・物価高の中、
自分のことで精一杯で育てる責任が持てない」など、
金銭面の不安を挙げる人が多かったそう(マイナビ2024年)。

訪日外国人で沸いている東京や沖縄、大阪、福岡などは、なんとなく人が溢れている感覚がありますが、
実際に居住している日本人、つまり、税金を自治体に支払っている人は年々減少傾向。
これは自治体運営にとっても、日本全体で生活を支える福祉・教育・産業政策にとっては死活問題です。
そんな現状の救世主となる「関係人口」「交流人口」という言葉をご存じでしょうか。

まず、「交流人口」とは、観光や旅行でその土地を訪れて現地で消費もしてくれる人たちのことを指します。
日本人はもちろん、外国人旅行者も交流人口のひとつです。
昨今のインバウンド増加により、日本全体でこの交流人口が日本国内にもたらす経済効果は、
5兆3600億円と発表されています(https://www.mlit.go.jp/kankocho/topics02_00004.html)。

それでは「関係人口」とは何でしょうか。
その地域には住んでいないけれど、文化的に、あるいは経済的な活動を通じて
その地域と関わりを持っている人たちのことを指します。
例えば、自宅も勤務先も東京にあるけれど、出身の群馬県で特産品を開発するプロジェクトに関わるなど、何かの関係性を持ち、現地と居住地を往復しているような方々が増えているもよう。
「その土地に関わる」という意味合いから「関係人口」という表現で表されているようです。
完全にその土地に移住した定住人口でもなく、観光に来た交流人口でもない、
地域と多様に関わる新しい交流の形ともいえそうです。

国土交通省の調査によると、2021年3月時点で全国にいる18歳以上の居住者の約20%(約1800万人)が
関係人口であるとの結果が出ています。
コロナ禍でリモートワークの普及もあり、関係人口の数は増加傾向にあるのかもしれません。

さて、今月の「気になる★数字」
都道府県平均の関係人口は189万人+潜在1480万人。石川県が急増
についてみてみましょう。

株式会社ブランド総合研究所が発表した地域伊ブランド調査2024(2024年4月)によると
https://news.tiiki.jp/articles/4903
47都道府県のそれぞれの関係人口(出身者と応援者の合計)は平均で189万人。
その他、各地との何らかの関係性がある、いわば「潜在関係人口」が1290万人いることが
判明したとのこと。
国全体では×47都道府県分となりますので、相当な人たちが関係人口、
あるいは潜在関係人口であるともいえそうです。
石川県の関係人口が急増しているのは、震災によるボランティアの増加や
特産品を買って地域復興を応援したいといった気持ちの盛り上がりを反映した結果と分析されています。

興味深かったのは、関係人口のうち、関係している各都道府県への居住意欲について。
関係している都道府県に「ぜひ住みたい」13.8%、「できれば住みたい」12.4%と回答しているとか。
つまり約3割に居住意欲があることになります。
また、都道府県別で最も「ぜひ住みたい」との回答が多かった居住先で1位だったのは福岡県。
およそ3割にあたる28.8%。次いで千葉県が28.1%、東京都が25.7%と続きました。

同様に潜在関係人口の居住意向については、
「ぜひ住みたい」が5.6%、「できれば住みたい」が9.9%。
合計では潜在関係人口の15.5%に居住意欲をもっていることが分かります。
関係人口と比較すると、潜在関係人口の居住意向率は約半数となりますが、
潜在人口は関係人口の約8倍もいますので、居住意向を持っている人数が
思いのほか多いことが分かります。

これらの結果から、人口減少に悩む地域は、その地域の関係人口および潜在関係人口に対して、
居住につながるような機会を設けることで、実際にUIターンにつながる可能性が高そうです。
なかなか踏み切れない方も多い移住ですが、地域の人との繋がりや、
より簡単に移住ができる仕組み作りでまだまだ地域の人口も増やしていけるチャンスがありそうです。

ちなみに、関係人口および潜在関係人口の、関係している都道府県への観光意欲について
見てみましょう。
関係人口の半数を超える50.7%が「ぜひ行ってみたい」、16.6%が「できれば行ってみたい」と回答。
つまり、約7割に観光意欲があるそう。
潜在関係人口では31.9%が「ぜひ行ってみたい」と回答し、「できれば行ってみたい」の23.3%との合計では半数以上の55.2%に観光意欲があったそうです。
観光で地域との関係を深めながら、やがて居住への階段を上っていただくことで、
人口減少の打ち手になっていくかもしれません。
日本全国素晴らしい場所がたくさんあります。ぜひ第2、第3の故郷を求める人が増えることで
地域活性、ひいては日本全体の活性につながるとよいですね。

ぜひ、この記事のお問い合わせや感想など、
どうぞお気軽にユッキにご連絡ください