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今月の気になる数字 「人工気候工学 研究に400万ドル投資」

2月は世界的に新型ウイルスで話題が持ちきり。

世界の空も海も陸も繋がっていてシャットアウトすることなんてできないと気づかされました。

その裏側で、自然環境の変化も話題になっています。この冬も、この気温の大変動にびっくりしている方も多いのではないでしょうか?

雪かと思えば翌日は4月並みの暖かさ、、、。世界でも気候変動が話題になっていますね。

南極の氷解が激しい件やヒマラヤの温度が歴史的に高まっている件、昨年9月から山火事が続くオーストラリアでのコアラの火傷の映像は目に焼き付いています。しかし2月に入って4日間続く過去30年最大の歴史的大雨により1850万ヘクタールを焼き尽くした一気に消化されたとのニュースが。あまりに激しすぎます。

ちなみに、今、砂漠が緑化しているニュースをご存知でしょうか?
アラブ首長国連邦は、国土の8割が砂漠で、年間降水量は全国平均で80ミリ未満。これは、日本の降水量の20分の1!と言われてもイメージつきにくいですが。
アラブ首長国連邦でも、大雨や嵐が続いています。昨年末から大雨で道路やドバイ国際空港の滑走路が冠水したり、その後も砂漠では珍しすぎる落雷、雹(ひょう)、竜巻発生と雨季にあたるとはいえ激しい気象現象が。

しかしこの過去20年の歴史的な大雨、単に自然が原因ではないそうで、、、Gulf Newsによると、アラブ首長国連邦では2015年から人工降雨のプロジェクトを実施。これまでに1,500万ドル(約16億円)が投じられたとか。

そんなこと、本当にできるの???と調べてみるといくつか方法があるそうで。

例えば、雲の中に塩の微粒子を空中散布すると、その塩を核として水滴が雨粒へと成長。実際に塩を散布のための航空機は4機あるそうで、このクラウドシーディング作業をしているそうです。

2018年には184回、2019年に247回、2020年は1月下旬時点で20回弱。2019年には101.1ミリの降雨に成功したとか。

UAEの気象局は、今回の大雨の30~35%は人工降雨作戦によると予測。それにしても、砂漠がこの雨で緑の芽を吹き出しているというのが下記。びっくりですね。

https://gulfnews.com/photos/lifestyle/after-weeks-of-rain-desert-turns-green-in-the-uae-1.1580140667549?slide=8

そこで、新たな温暖化対策として欧米を中心に注目されているのが、人工的に気候をコントロールする「気候工学(ジオエンジニアリング)」と呼ばれる分野。アメリカ政府も、400万ドル(約4億4千万円)以上の予算を計上すると公式に発表しています。

壮大なこの研究にたった4億円?とう気もしますが、あくまで研究投資で、先ほどのUAEのように実施にはもっと大きな予算出動が必要なのかもしれませんが。ちなみに、温暖化を止める具体的な方法とは、どのようなものでしょうか。

アメリカ海洋大気庁の科学者がE&E Newsに語った方法論は2つ。

成層圏エアロゾル注入法

二酸化硫黄などの微粒子(エアロゾル)を成層圏に注入し、太陽光から地球を遮る方法。1991年フィリピンのピナツボ火山噴火の時に発生したエアロゾルが成層圏に滞留し、地球の平均気温が0.5℃下がったことが研究の前提にあるとか。

低層雲の反射率増加

海塩を使って海上に低層雲を発生させる方法。仕組みはUAEの降雨作戦と同様。塩の微粒子を散布することで雲を増やし、その結果、太陽光の反射率を高める方法です。

なんだか、地球全体の気温を下げるには気の遠くなりそうな量と期間が必要な気がしますが、本当に有効なのでしょうか。

さて、今月の「気になる★数字」は…
「人工気候工学 研究に400万ドル投資」。

仮に、この研究が成功し世界中で大規模に実施されるまでに至ったとしても空も海も繋がっている宇宙船地球号。

世界中のどこかで良くても、どこかにはしわ寄せが行くという結果にするわけには参りません。世界の気候に影響するような副作用があったら大変かも。

研究者によると、これらの手段は短時間に効果をもたらすことができるのですが、やっぱり副作用は指摘されているそう。そもそもこんな研究にかまけて、これまで地球全体で話し合ってきた二酸化炭素削減の活動を停止してしまうと、さらに温暖化が急激なスピードで進んでしまいます。なので、あくまで並行して進めることとが大事。

さらに、こういった人工的な気象コントロールを世界中のどこかで行い続けるとやはりどこかにしわ寄せが行く。Win―Winな関係を作れるように国際機関で話し合い、実行していくことが大事なのかもしれません。

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