コロナ禍ですっかり近所の商店街はもちろん、
テイクアウトでレストランのオーナーさんと顔馴染みになりました。
とはいえ、なかなかマスク越しの会話は遠慮がちで、
キャッシュレス決済や無人販売の方が感染予防上は安心なんだろうなと思う今日この頃です。
2−3年前から、Amazon無人ストアや無人コンビニの実証実験も始まりましたが、
いよいよ、日本でも加速しそうです。
ちょっと前ですが、話題になったのが、今年3月14日にオープンした、
高輪ゲートウェイ駅のAI活用した無人コンビニ店舗「TOUCH TO GO」。
このような無人決済店舗は、人件費などのコスト削減はもちろん、データ活用による効率経営が期待されていますね。
ところで、このデータ活用、正直、普通のコンビニでもPOSデータで管理されているわけで、
無人だからって何が違うの???とユッキは?だらけ。
運営会社は「POS端末では、決して得られなかった情報が見えてきた」と話しているそう。
そう、POSデータとの一番の違いは、「売れなかった理由がわかること」。
POSデータは売れたものしかデータ化されないわけですね。
でも、この無人店舗に設置された50台のカメラが、活躍します。このデータは、業務改善やマーケティングにも役立つというから驚き。
まずは、買われたもののデータ活用から。
店内に設置された専用3Dカメラ約50台が、入店客の性別や年代を自動識別してその動きを認識・追尾。お客様が棚から商品を取ると棚に設置された重量センサーが反応。
商品を選び終えた人が決済エリアに入ると、棚から取り出した商品一覧と、その値段がディスプレイに表示され、OKなら交通系ICカードによる決済が行われます。
次は買われなかったデータについて。
棚のセンサーとカメラは
『商品を手に取った後に棚に戻した商品』、『どの棚をどれだけ見ていたか』『買わずに店を出た人がいるか』がわかってしまうことがミソ。
これはPOS端末ではわからない情報ですね。
例えば、おつまみチーズとおつまみサラミの売上げを比較したら、チーズの方が売れているとします。
そこで店内のお客様の動きと属性をカメラやセンサーで調べてると、
女性が一度はサラミを手に取るものの、小袋に小分けになっているおつまみチーズや柿の種などを買っていることが分かったりするのです。
こうしたデータを基に小袋に小分けになっている商品数を増やそうなどという仕入れの戦略が検討できたりしますね。
例えば高輪ゲートウェイ駅開業のタイミングでは、観光目当ての人たちが数人で入店する傾向が多いことが見て取れたそうです。
こういった人たちは何も買わずに退店することが分かり、観光客が求めるお土産になりそうなオリジナルグッズを並べたそう。
ますます、面白くなりますね!
ちなみにお隣中国では、2018年に「無人コンビニ」がブームに。ITバブルとも言える中、投資も大きく集めたそうです。
でも2020年現在、その頃の無人コンビニでうまく行っているものはほとんどないという声も。
多くが倒産、存続していても倒産同然、または別のビジネスに転換しているとか。
例えば、ガラス張りのコンテナ型店舗で有名となった無人コンビニの「Auchan」。
事前にユーザ登録したあと、スマホでロック解除して入場、セルフレジで決済するタイプのコンビニ。入店時にスマホを操作するのが面倒、入場後ドアロックされるため店員不在で自分一人でもし外に出られなくなるかもという不安という声もあるそう。
また、商品につけられた「RFIDタグ」が決済時に認識される仕組みやAmazonGoのような画像認証型コンビニもあったのですが、問題はその精度。
誤った会計となってしまうことが多かったそうで、無人店舗で会計が誤っている場合はどうしたら良いかわからないという不安もありそうです。
一方、経営側の問題として、RFIDタグ自体に1枚5円ほどのコストがかかり大きな負担に。
そもそも、コンビニに行く人は、「立地の便利さ」や「必要なものがあるという安心感」を求めています。
「無人か無人ではないか」はこのコロナ禍でも、悩ましいところかも。
その中で成功しているのは、「便利蜂(Bianlifeng)」。
2017年2月に1号店をオープン後、2020年6月時点で中国国内20都市に1,500店以上を出店。2019年末に、今後3年間で1万店舗をオープンさせる予定と発表しているそう。
便利蜂が他の「無人コンビニ」と違うのは、店舗スタッフはいるのに「完全セルフレジ」というスタイル。セルフレジ決済か、便利蜂アプリで商品をスキャンして決済する方式を選べる。
確かに、スーパーと違ってコンビニでの買い物は数点。セルフレジやスマホ決済も大した負担にはならなそうですね。アプリ決済ができるので、混雑時に並ぶことも必要ありません。
これが一番の便利かもしれません。
ちなみに、店員さんは、レジ対応をしない代わりに、暖かい料理を好む中国のお客様向けにお惣菜商品の提供や在庫補充に集中できますね。
便利蜂の1店舗あたりの商品は約2500種類、毎週平均150種類の商品入れ替えが発生するそう。
商品の発注、陳列、価格設定なども大変なのですが、A Iを導入してスマートに標準化されたプロセスで行われているという。
ベテラン店長10人に店舗データを渡し、1週間かけて在庫削減させたところ、次の日の売上高が5%減少。でも同じことをアルゴリズムにやらせたら、0.7%しか次の日の売上高が下がらなかったという実験結果もあったそう。
その他、便利蜂ではPB商品の開発や、デリバリー、クリーニング受取り・受渡し、写真プリント、シェアサイクル、オフィスビル向け自動販売機なども提供。
「コンビニエンスストア」から派生する広範囲な生活支援サービス提供している。
創業わずか3年の便利蜂、5年程度での上場を目指しているのでは、と注目を集めている話題の企業です。
さて、今月の「気になる★数字」は…
「無人コンビニ始動!そのコストは店内50台カメラ含め月額80万円」。
この無人コンビニ、若者や外国人も含めて働く人を確保することが困難になりつつあるコンビニ、
いや小売業界全体の救世主になりそうなのですが、問題はコスト。
決済に関するセキュリティだけでなく、データ活用のためのシステム費用やカメラ50台というのもすごいコストがかかりそうです。
バイトが見つからないから無人で、、、といっても投資が大変そうです。
そこで、今回ご紹介した国内での無人コンビニTOUCH TO GOでは、無人決済やデータシステムは外販を開始している他、60平米程度の店舗であればシステムの初期導入費用無料、月額80万円程度のサブスクリプションモデルとして提供予定だとか。
その理由として「小規模店舗にとって、多額の初期投資はハードルが高い。そのため初期費用はゼロ、月額利用料型を採用した」とのこと。
今後、もっともっと店舗が増えてカメラやセンサーなどの価格も下がれば、月額は下がるのかもしれませんが。
この月額費用が人件費を下回る日が来ると、一気に無人店舗も増えそうですですね。
※皆様からのご質問やご意見もお待ちしています。どうぞお気軽にユッキにご連絡ください。