さて、コロナ禍も明けつつあり、気候も良くなってきた時期ですね。
街では小さいお子さんたちを連れたお散歩や公園遊びも
目にする機会が増え、ほほえましく感じます。
こうした景色が社会全体を優しくしていく気がします。
さて、昨今、世間を賑わせているのは、
政府のこども家庭庁創設や「こども・子育て予算倍増」「次元の異なる政策」などの政策。
こうして国全体で子育てを支援する動きが高まっている背景にあるのは、
どうやら「2025年問題」も大きそうです。
国内では2025年頃から20代人口が急激に減少するため、
このままの出生率では維持したとしても、生まれる子どもの数が大幅に減少し続けてしまうため
さまざまな子育て支援の拡充を実行することで、子供を持つことに対する不安を払拭し、
マイナスをプラスに転換すべきタイミング…のタイムリミットが2025年である、
ということらしいです。
もちろん、子育て支援だけではなかなか変革は難しく、
親となる若い世代の雇用の安定、賃金の上昇、働き方改革などもマストです。
そんな背景も加わり今、男性育休にも大きな注目が集まっています。
政府は、2022年10月より男性育休の推進を開始したのですが、
厚生労働省の雇用均等基本調査によると、男性の育児休業取得率は2021年度で13.97%。
2012年度の1.89%から9年連続で上昇しつつも、女性の育児休業取得率81.6%と比べると、
男性の取得率はまだまだ低い状況。
その取得率を2030年度までに85%へ上げる目標を掲げ、
その育休中の保証も給与の67%から100%への引き上げを検討しているもよう。
ということで、今回は男性育児休暇の調査について見てみましょう。
『「男性育休」についての意識調査』
(サイボウズチームワーク総研2022年5月発表)
https://teamwork.cybozu.co.jp/blog/paternityleave.html
■育児がはじまったら希望する働き方(育休取得希望者層)
・「育児休業を取得して、働き方も変更」 47.3%
・「育児休業は取得せず、働き方を変更」 23.5%
・「育児休業取得のみ」 29.2%
■育休中の男性としての働き方として「あり」なもの(上司層)
・ 1位「フレックスタイム制」
・ 2位「テレワーク」
・ 3位「残業なし」
(育休取得希望者層)
・ 1位「週休3日(有給活用)」
・ 2位「テレワーク」
・ 3位「フレックスタイム制」・「短時間勤務」
■男性部下の育児休業を「歓迎できるかどうか」(上司層)
「男性部下の育休取得希望期間」ごとに「歓迎できる」(VS 本音では歓迎できない)とした人
・「1週間」 80.9%
・「1か月間」 61.3%
・「3か月間」 42.7%
・「半年以上」 36.1%
さて、今回の「ワンポイント★プラス」は…
「対象者別に同じ設問で調査をする時に注意すべきこと」についてです。
本調査では、男性育児休業に対して、
・ 部下に男性正社員/公務員をもつ上司(課長職相当~経営者):2,000名
・ 将来、育児休業取得意向のある男性正社員/公務員:1,000名
を調査対象としています。
両者の明確な意識の違いを調査するためには最適な割付かと感じます。
一方、女性部下と男性部下の両方を見ている上司はどの程度いるのだろうか、
現時点で育児休業取得の意向がある回答者というのは既婚者、
ある程度の社会人歴があるのではないか、
もしZ世代の未婚者かつ社会人歴が浅く会社の論理に染まっていない対象者だけに
聞いたら別の結果になったのではないか…などと、
調査を読みながらいろいろ気になる部分も出てきます。
サンプル数の限界もありますし、すべての疑問を証明する調査設計は難しい。
その際はぜひ、他社調査などでこうした疑問に対する答えになりそうな調査を
事前に確認しておくことをお勧めします。
相場観をつかんだうえで、あえてこの層に絞って調査した背景や目的、
さらに、調査結果の偏差の可能性についても把握できていると
分析の際にもミスに気付くことができたり、新たな視点での分析にも役立つと思います。
やはり、調査設計の際には、どうしても事前の仮説や導き出したい方向性に引っ張られがちです。
多角的に調査テーマを眺め、フラットな調査結果が出せるように意識しておく必要があります。
ぜひ、今後の調査設計の際の参考にしてみてください。
※皆様からのご質問やご意見もお待ちしています。どうぞお気軽にユッキにご連絡ください。