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今月の気になる数字「大阪・関西万博 目標来場者数 2820万人達成なるか?」

9月に入って、現在開催中の大阪・関西万博も、会期終了の10月13日まで
あと、約1か月と少しとなりました。
開催直後の1か月は、来場者が伸び悩んでいるという話題もありましたが、
この猛暑の夏休みの賑わいは、ニュースとしてたくさん流れてきたのではないでしょうか。
万博テーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に対する各展示が
各所で話題になっていることもあり、リピータも増えていて来場者数はうなぎのぼりのもよう。

公式サイトによると8月16日時点での総来場者数は1678万人、
チケット販売総数は1866万枚とか(https://www.expo2025.or.jp/news/news-20250818-02/)。
平日でも12〜14万人、休日には18〜20万人規模の来場が続き、
会期終盤に向けてさらに増加が見込まれているそうです。
元々の公式目標値2820万人に届きそうな勢いですね。
ちなみに、このうち、350万人をインバウンド客と見込んでおり、
経済波及効果(試算)約2.9兆円でしたので、会期終了後の総決算が楽しみです。

さて、この万博、こんなに評判がよく大混雑しているなら、もっと会期を延ばせばよいのでは?と
思ってしまうのですが、そうもいかない事情がありそうです。
実は、世界で開催される万博については、国際博覧会条約(BIE条約)という規約に基づいて
実施されているそうです。
 • 会期は6週間以上、6か月以内と定められている(条約第3条)
 • 開幕日・閉幕日の変更には国際博覧会事務局(BIE)の承認が必要
 • 条件を逸脱すると、登録博覧会としての認定が取り消される可能性がある
つまり、勝手に延長すると「万博」としての国際的な認知が失われ、
参加国の撤退やスポンサー契約の破棄など、重大な影響が出る可能性があるようです。

では、世界ですべての万博がこのルールを守っているのかというと、
1964年〜1965年に開催された「ニューヨーク世界博覧会」は、未公認の万博として開催された実績が。
会期が長すぎたことや土地使用料の徴収などで国際博覧会条約に違反していることから、
結果的にBIEの承認が得られず、未公認のまま開催
その結果:
 • ソ連・フランス・イギリスなどの主要国が参加を拒否
 • 展示の質が低下し、企業色が強すぎると批判
 • 経済的にも赤字を抱える結果になったとか。
こうした「延長の代償」は、国際的な信頼を損なうリスクを伴うため、
現在の万博では慎重に避けられているそうです。

大阪万博では、期間を延長できないならば…と、実は開催時間を22時から23時へと延長を
BIEに打診して認可されたそうです。

さて、今月の「気になる★数字」
大阪・関西万博 目標来場者数
2820万人達成なるか?

についてみてみましょう。

さて、そもそも、どのように来場者目標は立てられているのでしょうか?
過去の万博の来場者数と比較しながら、見ていきたいと思います。

それでは最初に、直近開催されてきた万博について数字を見ていきましょう。
 • 2000年 ドイツ・ハノーバー→来場者数:約1800万人 経済効果: 約1.8兆円
 • 2005年 日本・愛知 →来場者数:約2200万人 経済効果: 約2.8兆円
 • 2010年 中国・上海 →来場者数: 約7300万人 経済効果:約5兆円以上
 • 2020年 UAE・ドバイ→来場者数:約2400万人 経済効果:約2.7兆円
 • 2025年日本・大阪 →来場者数:約2820万人(目標) 経済効果: 約2.9兆円
中国・上海で開催された時の入場者数が群を抜いて大きいことに驚くとともに、
来場者数が経済波及効果との影響が大きいことを実感します。

また、来場者数予測については。海外や国内遠方からの来客は見込んでいるものの、
やはり開催地域圏の人口や市場規模が来場者数に影響していることが伺えます。

では、どのように大阪・関西万博の来場者数目標「2,820万人」は試算されているのでしょうか。
こちらのサイトによると、https://www.sompo-ri.co.jp/topics_plus/20250415-18107/
以下3つの数字をベースに目標数値が試算されているのではないかと想定されているようです。

① 愛・地球博(2005年)の実績をベースにした推計
愛・地球博の前売り券販売数は906万枚、最終来場者数は2,205万人。
この比率(約2.43倍)を大阪万博に当てはめると
大阪万博の前売り券目標1,170万枚 × 2.43 ≒ 2,843万人**
よって、2,820万人という目標は妥当な範囲。

② 地元人口の規模差
愛・地球博の地元(愛知・岐阜・三重)の人口:約1,200万人
大阪万博の地元(大阪・兵庫・京都)の人口:約1,800万人
→ 地元人口が約1.5倍であるため、地元来場者の増加が見込まれる。

③ インバウンド需要の上振れ期待
2005年当時と比べて、訪日外国人観光客は大幅に増加
万博期間中の海外来場者数は約350万人と予測。
その他、開催期間の天候や、3連休の数などにも影響は受けそうですね。

この2,820万人という目標数字は「希望的観測」ではなく、
過去の実績と現実的な人口・需要分析に基づいた目標値といえそうです。
会期最終日まで、全国的な盛り上がりとレガシー創出に期待が高まりますね。

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